最大クロック周波数12 MHzのZ280。伊藤様よりの頂きものです。
しかし、すでに8086, V30, MC68000などが2000円程度で購入できる時代に、生産初期とはいえ3万円を越える価格ではなかなか採用する気にはならないでしょう。量産すれば急激に価格が下がるとはいえ、MC68000並になるにはMC68000並に売れなくてはならないわけですし。少し性能が低くてもよければ、Z80
CPUオブジェクトコード互換のHD64180がやはり安価に供給されています。内蔵周辺回路まで含めて性能的には同格の80186やV50とも競合します。本格的なMMUを内蔵したのも少しはずしていた感があります。当時、このクラスのマイクロプロセッサで64
KByteを越えるメモリが必要な場合といえば、音声再生用データとか漢字フォントデータのような巨大な定数データが必要な場合とか、大容量のデータバッファメモリが必要とか、そんな場合がほとんどです。複数のプログラムを同時に並行して実行して、しかもそのコードの合計が64
KByteを越える規模ということはめったにありませんし、そんな応用ならさっさと使いやすい16
bitマイクロプロセッサを採用します。単に大きめのデータ空間が必要なら、バンク切り替え的アドレス空間拡張をおこなったり(HD64180)、特別なアドレッシングモードの場合だけ大きなアドレス空間にアクセスしたり(TLCS-90の一部)する方がプログラムしやすいと思います。1987年では、もうZ280クラスをパーソナルコンピュータ的なものに応用するにはちょっと時期が遅いですし。
そんなわけで、あまり使われなかったのでしょうね。
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