次の写真は4 bit×256 Word構成でデータ入出力分離の2101Aのセカンドソース品です。左からNEC、三菱、Synertek製で、アクセスタイム450 nsのもの(Synertek製は250 ns)。小容量のメモリシステム向け。
次は大容量メモリシステム用の2102で1 bit×1024 Word構成、入出力分離の16ピンパッケージ。下の写真の左上は1974年製のMIL社のMF2102Rでアクセスタイム1 usのもの。左下は1976年製のFairchild Semiconductor Inc.製でアクセスタイムが450 nsになっているがWE*パルスに対するアドレスセットアップタイムが150 ns以上必要であったりデータホールドタイムが0でなく50 ns以上必要な2102相当品です。右上は1975年のAMD製のAM9102APCで、AM9102AでAが末尾に付いているから2102A相当品かというと、このAは単にアクセスタイムが500 nsというスピードランクを示す記号なのですが、Fairchildのものと異なりアドレスセットアップタイムが20 ns以上でデータホールドタイムが0 nsとなっていてタイミング的に2102A相当品だということがわかります。右下はNEC製のuPD2102AL-4でIntel社の2102AL-4互換品でアクセスタイムは450 nsとなっています。
8個組み合わせて1 KByte単位のメモリシステムを作るのに使われます。小型でバッファを付けやすい回路構成なので、初期の大容量メモリボードにはよく使われました。
あ、そうそう、右下のuPD2102AL-4など、2102AL相当品は、1.5 Vの電源電圧でバッテリバックアップが保証されていました。とはいっても、電源電圧を1.5
Vにしても記憶が保持されるというだけの意味で、このときの消費電流は1個で最大28
mAくらいあり、8個では最悪200 mAを越えてしまいます。CMOSのメモリより何桁も大きな消費電力ですので、小さな電池1個か2個でバックアップというふうにはいきません。えー、それでも私はバッテリバックアップしていた経験があるんですけどね。今は外部記憶装置が安価で必ずコンピュータに付随しているから問題はありませんが、当時はそんなものなかったので、電源が切れてしまえばRWM上のプログラムは消えてしまいます。できるだけ電源を切らないようにしていても、事故というものはかならずありますから。単一乾電池が1日で空になろうが、事故への備えというのは大事ですよね。10秒だけコンセントが抜けても大変なことなんだから。本当はNiCd充電池でやっていて、液漏れ事故を起こしてしまったという話が別にあるのだけど。
それで、これが2111A相当品の富士通製でアクセスタイム450 nsのもの。4 bit×256 Word構成ですが2101と異なり入出力共通にしているため、18ピンのパッケージに納まっています。2101Aと同程度か少し大容量だが2102Aより小規模のメモリシステムのためのメモリIC。これですら製造後20年以上経っているのだなぁ。足の銀メッキが硫化して黒くなってしまっている。
2102を使用したメモリボードの例をひとつ。
パックスエレクトロニカ社のPM-02メモリボードキットを組み立てたもの。115 mm×155 mmの基板に2102が32個、アドレスデコーダとバッファ類のICが8個搭載されている。計4 KByteの基板。カードエッジコネクタのあたりにジャンパ線が多数あるのは、この基板が特定のシステム用に作られたものでなくさまざまなコンピュータのバスに接続できるように設計されているため。ユーザが自分のハードウェアに合わせてバスの配線を行うことになっている。葉書より大きな基板で4 KByteだが、ぜいたくなメモリサイズだったのよ、当時は。キット価格で1978年1月の時点で39000円と低価格。
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