1: p-MOSメモリ製品だいたい、こんな感じです。一部、忘れているところがありますね。
2: n-MOSメモリ製品
3: バイポーラメモリ製品
4: 4 bitマイクロプロセッサ関係
5: CMOSメモリ製品
7: その他メモリ製品だっけ
8: 8 bitマイクロプロセッサ関係
0: マイクロプロセッサ主なところはこんな意味ですね。4番のSAM以外のRWMやROMはすべてランダムアクセスメモリ(RAM)です。
1: 読み書き可能なメモリ(RWM)
2: マイクロプロセッサ周辺
3: マスクROM
4: シーケンシャルアクセスメモリ(SAM)
6: ヒューズROM
7: EPROM
はい、すべてセカンドソースです。左と中央は初期のIntel社のセカンドソース生産で有名だったカナダのMIL社の製品で、左がセラミックパッケージのMF1101A1Rで1973年製、中央がプラスチックパッケージのMF1101A1Pで1974年製(同社は1975年に半導体事業から撤退)。共にアクセスタイム1
usの高速品。右はAMDの製品でアクセスタイム1.5 usの標準品で1979年製。
とはいえ、1101Aでも消費電力は最大685 mWもあり、16ピンのプラスチックパッケージで消費するにはあまりにも多い電力です。1101Aを2.54
mm間隔で多数実装して、実際に熱破壊した例が報告されています。1 KByte分集めれば9
cm角の基板で20 Wくらいの発熱があり、強制空冷を忘れれば確かに破壊しても当然かもしれません。アクセスタイムは高速版で1
usであり、応用によってはつらい場面があると思います。
16ピンパケージのピン割り当てはこうなっています。
A5 1 16 CS*
A7 2 15 R*/W
A6 3 14 DO*
VD 4 13 DO
VSS 5 12 DI
A4 6 11 A3
A0 7 10 A1
VDD 8 9 A2
前述の電源はVSSが+5 VでVDが-10 V (-9 V)、VDDが-7 V (-9 V)となります。入出力信号は、この電源電圧ならほぼTTLレベルになります(要プルアップ抵抗)。VDDがメモリセル用の電源で、VDが周辺回路の電源なので、メモリにアクセスしないときにはVDの電圧をVSSにして電源供給を行わなくても、記憶内容には影響がありません。このようなスタンバイ方法をとると、消費電力が1/2から1/3にまで減少するので、発熱を少なくできます。
データ出力が正論理と負論理の2種類出ているのを除けば、CS*とR*/Wで制御される一般的なメモリに見えます。ただしR*/W信号の書き込みパルスはアドレスが確定してから300
ns経過後に与えないと別のアドレスの内容が変化する可能性がありますし、また書き込みパルスが終わってから100
ns以内にアドレスを変化させると、やはり記憶内容が破壊される危険があります。このあたりのタイミング規定は、その後の2102などと比べると面倒になっています。
ちなみに1972年頃の1101の価格は17000円程度。仮に1 KByte分のメモリボードを作ろうとすれば、1101の代金だけで50万円を越えます。それが1975年頃の1101Aの価格は2000円程度になり、1
KByte分でわずか64000円前後で済むようになります。さらに1977年頃に2102が普及してくると、1
KByte分のメモリICが10000円を切るようになってきます。さらに5年後には、ダイナミックメモリなので同列に比較すると多少問題がありますが、64
Kbit DRAMで64 KByte分のメモリ価格が10000円を切ります。すべて秋葉原店頭でのばら売りでの価格比較です。メモリICの価格の劇的な低下の歴史はメモリICの誕生した1970年代初頭から始まって、今なお続いていることがよくわかりますね。
そのメモリICのうち、最初の業界標準となったのが、1101なのです。
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