これがuPD458の写真です。消去・書き込みに使用する専用の高圧電源端子があるため、2708よりも4本端子が多い(内2本はNC)28ピンパッケージ。
具体的なピン配置はこうです。
A7 1 28 VCC
A6 2 27 A8
A5 3 26 A9
A4 4 25 NC
A3 5 24 CS*
A2 6 23 VDD
A1 7 22 NC
A0 8 21 D7
D0 9 20 D6
D1 10 19 D5
D2 11 18 D4
VSS 12 17 D3
VCG 13 16 VCL
VBB 14 15 PG
このピン配置は、13, 14, 15, 16番ピンを無視して残りの24本の端子について着目すると、2708と互換性がある並びになっていることがわかります。22,
25番ピンがNCになっていますが、これは2708ではPROGRAMピンとVBB (-5 V)ピンで、uPD458では内部と接続されていませんから、差し替えが可能です。つまりuPD458のつもりで配線を行なって、22番ピンをGNDに、25番ピンを-
5 V電源に配線しておけば、uPD458を使うことも2708を使うことも自由になります。これはuPD454になかった優れた特長です。
電源関係は複雑ですから、表にしてみました。
端子名 | 読み出し(通常) | 書き込み | 消去 |
VDD | +12 V | GND | GND |
VCC | +5 V | GND | GND |
VBB | GND | -2 V | -5 V |
PG | GND | +26 V | GND |
VCL | GND | GND | +36 V |
VCG | GND | +26 V | -40 V |
VSS | GND | GND | GND (OPEN) |
このように、電気的消去が可能だといっても消去や書き込みに使う電源は複雑で、消去には-5
V, +36 V, -40 Vの電源を用意する必要があります。書き込みには-2 V, +26 Vが必要です。そして通常の読み出しのテストには+5
Vと+12 Vの電源が必要ですから、ROMライタは1702Aほどではないにしろ、結構面倒になります。おまけに2708のようにセカンドソースが多数存在して価格が急落することもなかったので、あまり使われませんでした。あと、電気的消去書き換えができるため、コンピュータの電源電圧に一瞬不正な高圧が加わると(電源をオンにした瞬間に異常電圧が生じる場合がある)、記憶内容が書き変わってしまうという事故が報告されていたりして、少し不安でした。
しかしまぁ、当時はユーザがプログラム可能なROMの品種も少なく、電気的に消去できるというだけで珍しいものであったということは書き残しておくべきでしょう。
書き込みや消去の電圧や手順はuPD454と共通です。なんにせよ、読み出し時の電源が一番簡単になっているのは使いやすいですね。2708より多い4本の端子はすべてGNDに接続してしまえばよいのですから。
でも、消去で+36 Vと-40 Vですから電位差は76 V!うっかりと消去中にチップに触れたら感電しちゃいますね。
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