では写真。
左からNEC、富士通、東芝、日立2716互換品。まだパッケージのスタンダードができていなかった頃で、各社各様なのがわかりますね。UVEPROMは紫外線を照射するために石英ガラスの窓をダイの真上に取り付けなければなりませんが、その封止の方法に特徴があります。あと、各社のダイのサイズが異なることもわかるでしょう。さらによく見ると、ダイの接着にNEC以外は金を主原料とする合金が使われているのがわかると思います。この頃は金が安かったんですね。
ピン配置はこうです。
A7 1 24 VDD
A6 2 23 A8
A5 3 22 A9
A4 4 21 VPP
A3 5 20 CS*
A2 6 19 A10
A1 7 18 PD/PGM
A0 8 17 D7
D0 9 16 D6
D1 10 15 D5
D2 11 14 D4
VSS 12 13 D3
VSSがGND端子でVDDが+5 V電源です。VPPは書き込み時に高電圧電源を与えるための端子ですが、通常使用時には+5
Vを与えます。PDはパワーダウンモード端子で、Hレベルを与えるとデータ読み出しはできない代わりに低消費電力モードになります。セカンドソースなどによって異なりますが、読み出し動作時の消費電力と比べておよそ半分から1/4まで消費電力が小さくなります。今は18番ピンをCS*、20番ピンをOE*と呼ぶのが普通でしょうかね。
2708では3電源必要だったのを1電源(と書き込み用の電源)に整理して電源端子が減らせたので、2708で+12
V電源の供給に使用していた19番ピンを新たに必要となったアドレス端子に割り当てています。
この頃はTexas Instruments社が独自路線のUVEPROMを作っていました。
正確には、各社とも独自仕様のEPROMも何種類も作っていたのです。というのは、自社仕様のマスクROMと差し替えができるとか、バイポーラのヒューズROMの置き換え用のピン互換品とかも、そこそこの需要があったのです。UVEPROMの価格が下がる前はヒューズROMの価格が安い場合があり、アクセスタイムが高速でなくても良いマイクロコンピュータのプログラム用ROMにも使われていたときがあります。ただ、バイポーラヒューズROMは消費電力が大きく、工場出荷時に完全なテストができない(データが正しく書き込めるかテストしてしまったら、ユーザが書き込みできません)ために不良率が高かったことなどがあり、欠点の少ないUVEPROMに置き換える需要があったりしたわけです。
ただTI社の場合は少し異なり、Intel系列の2716と張り合って、主導権をTIが持とうとするかのように少し仕様の違うものを同時期に発売するので、混乱のもとになっていました。TIの独自仕様の名称はTMS2716でIntelの2716とそっくりですが、+12
Vや-5 V電源が必要だったりA10とCS*のピンの位置が異なったりして、互換性はありません。一応、Intel社の2708と書き込み方法が同じなので、ROMライターのプログラムを少し変更すれば(ハードウェアの改造は最小限で)TMS2716に書き込めるという点が長所でした。当時はROMライターという装置は高価でしたから、そちらに配慮したということでしょうか。なお、TI社もIntelの2716互換品を発売していて、型番はTMS2516といいます。
具体的にTMS2716のピン配置も示しておきましょう。
A7 1 24 VCC
A6 2 23 A8
A5 3 22 A9
A4 4 21 VBB
A3 5 20 CS*
A2 6 19 VDD
A1 7 18 A10
A0 8 17 D7
D0 9 16 D6
D1 10 15 D5
D2 11 14 D4
VSS 12 13 D3
VCCが+5 V、VDDが+12 V、VBBが-5 Vの電源端子です。
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