左からIntel社の1977年製2708、 富士通の1977年製のMB8518、Motorola社の1979年製のMCM2708。
書き込みは26 Vの高圧パルスを与える必要があり、1 Byte単位での書き込みはできないことになっています(試してみるとByte単位で書き込みできたりしましたが、熱的破壊の可能性があります)。書き込みシーケンスはこの後に発表される2716ほど簡単ではありませんが、従来の1702Aと比べればアドレスやデータのロジックレベルは通常と同じTTLレベルでよく、書き込みに必要なハードウェアが劇的に簡単になっています。
ピン配置はこうです。
A7 1 24 VCC
A6 2 23 A8
A5 3 22 A9
A4 4 21 VBB
A3 5 20 CS*
A2 6 19 VDD
A1 7 18 PROGRAM
A0 8 17 D7
D0 9 16 D6
D1 10 15 D5
D2 11 14 D4
VSS 12 13 D3
VSSがGND端子でVCCが+5 V電源、VDDが+12 V電源、VBBが-5 V電源です。3電源必要なことを除けば、ROMとして必要十分な端子しかありませんね。
書き込み方法について少し詳しく説明します。
2708の書き込み方は一定の手順が必要でした。各バイトにつき充分に長い書き込みパルス一発でデータを書き込むのでなくて、アドレスを0,
1, 2,..., 0x3FFと変えながら順番に短い書き込みパルスを加える操作を繰り返し行って、トータルで充分な長さの書き込みパルスが加えられたことになるという方法です。そうすれば、特定のアドレスのビットに書き込み電流が長時間加えられることがなくなり、その部分の温度上昇が小さくなります。全アドレスを一周すれば再び書き込みパルスが加えられますが、その頃には冷めているというわけで。というわけで、1
KByteの全データを必ずまとめて書き込みしなくてはならない規則になっています。1回に加えられる書き込みパルス幅は0.1
msから1 msの間で、トータル100 msの書き込みパルスが加えられると書き込み終了です。たとえば1回のパルス幅が0.5
msなら、200回繰り返し全アドレスに順繰りに書き込みパルスを加えることになります。
チップ全部の書き込み時間は100秒少し、2分弱といったところでしょうか。チップ単位の書きこみ時間は1702Aより少し早くなった程度ですが、そもそも容量が4倍ですから、かなり改善されています。
2708を書き込みモードにするにはCS*に+12 Vを加えます。書き込みパルスはPROGRAM端子に+26
Vを加えます。この2本の信号が書き込み時に必要なTTLレベルでない信号です。特にPROGRAM端子の+26
Vは、ひんぱんに0 Vとの間でスイッチングしなくてはならないし、その立ち上がり立ち下がり時間も最小最大値とも規定されているうえに電流も20
mA(セカンドソースによっては最大40 mA)流さなくてはならないので、回路的に少し手間がかかります。とはいえ、たった1本の信号だけになったのですから、1702Aと比べたらずいぶんと簡単なものです。
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