MK4164 64 Kbit Dynamic Memory
ダイナミックランダムアクセスメモリ(D-RAM)の仕組みは4 KbitのMK4096でほぼ完成しましたが、その後も少しずつ改良が加えられながら記憶容量を増大させています。MK4096の2世代後のメモリがMK4164という64
Kbit D-RAMですが、この代での特筆すべき改良は5 V単一電源動作でしょう。すでにマイクロプロセッサなどの他のLSIでは5
V単一電源動作でない方が珍しい時代になっていましたが、D-RAMは3電源が必要とされていました。内部にアナログ的動作をする回路があるためか、+12
Vや-5 Vが必要なのでしょう。64 Kbit D-RAMになって、負電源は内部回路で5 Vから作成することで外部供給を不要にし、内部素子の改良で+12
Vを不要にして5 V単一電源動作を可能にしました。この結果、16 Kbitのときと比べて端子が2本あまりますから、そのうちの1本を容量増大分のアドレス端子に使うことによって、従来と同じ16ピンパッケージに納めています。きわめて初期の64
Kbit D-RAMには、1978年に富士通が開発したMB8164のように+7 V, -2 Vの2電源方式というものも存在しましたが、やはり5
V単一電源化できてしまうとあっという間に姿を消しました。
左は三菱製M5K4164で右は日立製のHM4864。
M5K4164は1982年に秋葉原の店頭で8個10000円くらいで購入しました。これでも充分に割安なメモリだったのよ。当時はROMもすでに5
V単一電源でしたから、Z80 CPUと共に使用して、I/OのRS-232Cインターフェース以外は5
V単一電源のコンピュータを製作できました。8個でZ80 CPUなど一般的な8 bitマイクロプロセッサの全メモリ空間を満たすことができます。
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