MC1372はTV受像機用の高周波信号を作成するカラーRFモジュレータ用ICです。
後述のMC6883のような、凝った外部回路を付けない限り、英数字表示モード2種類、セミグラフィックモード2種類、グラフィックモード8種類の内のひとつを選択できました。
モード | メモリ容量 | 色数 | コメント |
英数字モード
(内部フォント) |
512 Byte | 2 | 内部キャラクタジェネレータによる英数字表示 |
英数字モード
(外部フォント) |
512 Byte | 2 | 外部キャラクタジェネレータによる英数字表示 |
セミグラフィック4 | 512 Byte | 8 | 田の字型の4要素によるセミグラフィック |
セミグラフィック6 | 512 Byte | 4 | 横2、縦3に区分された要素によるセミグラフィック |
64×64カラーグラフィック | 1 KByte | 4 | 64×64ドットのカラーグラフィック |
128×64グラフィック | 1 KByte | 2 | 2色グラフィック |
128×64カラーグラフィック | 2 KByte | 4 | カラーグラフィック |
128×96グラフィック | 1.5 KByte | 2 | 2色のみ |
128×96カラーグラフィック | 3 KByte | 4 | 各ドットがほぼ正方形 |
128×192グラフィック | 3 KByte | 2 | 縦の方が短い2色 |
128×192カラーグラフィック | 6 KByte | 4 | 同上多色 |
256×192グラフィック | 6 KByte | 2 | 正方形ドット |
この表のメモリ容量はビデオメモリとして必要なサイズを意味しています。したがって、たとえばMC6847に2
KByteのビデオメモリしか接続していなければ、上の表の下4項目のグラフィックモードを使うことはできません。
英数字モードは1行あたり32文字で16行の表示が可能です。家庭用TVを表示に使用する前提ですから、これ以上の精細な表示ではドットが滲んだり色がずれたりして実用にはなりません。カラーTVに表示できるのですが、色数もきわめて少ないことに注意して下さい。メモリが高価であったため、おいそれとビデオメモリの容量を増やすわけにはいきません。
このMC6847とMC1372に、ビデオメモリと数個のTTL ICを接続すれば、家庭用TVに文字やグラフィックを表示できたという簡単さが売りだったのです。
Tandy RadioshackのColor Computer用に開発されたMC6883もついでに写真を載せておきます。Synchronous Address Multiplexer (SAM)と呼ばれていて、MC6809EとVDGのタイミングを調整して、MC6809Eのメインメモリの一部を表示用のメモリとしてVDGからアクセスさせるのが主な役目です。他にメモリのリフレッシュとかI/Oのチップセレクト信号やタイミングの生成を行います。また、MC6847に別の表示モードも付け加えられます。
これと、このMC6847、MC6809Eを組み合わせると、メモリやI/O用のLSI以外のTTL ICが他に3個必要なくらいで、そこそこ高性能の家庭用コンピュータが作成できます。モトローラの型番の他に74LSファミリの型番が付いているのがちょっと珍しいですよね。
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